第52章 D.C
翌日。私は姉鷺を捕まえて問い詰めた。
『やってくれましたね。見事にハメられましたよ』
「あらぁ、人聞き悪い言い方してくれるじゃない」
『どうするんですか?もし私の正体が、メンバーや世間にバレたら』
「大丈夫よ!昨日も言ったけど、カメラにガッツリ映らなきゃいいんだし。それに 昨日は説明しなかったけど、アナタの部屋だけ内鍵付けてあるの。女に戻る時は、部屋に鍵掛ければ あの子達に見つかる事もないでしょ?」
人差し指を天に向け、明るく笑う姉鷺。こうもあっけらかんと言われてしまうと、どうにも怒る気もなくなってしまう。私の方が、深く捉え過ぎていたのか?とさえ思わされる。
「最近のアンタ達…雰囲気いいわよ。このアタシが、ちょっと妬いちゃうくらいにね。
アナタも、あの子達の事 好きなんでしょう?」
『そうですね。たしかに、私は彼らが好きです』
「だったら!この際、楽しんじゃいなさいな!合宿みたいでいいじゃない。きっと良い思い出になるわよ!」
『姉鷺さん…。
分かりました。言われてみれば、あまりある事ではありませんし、自分なりに楽しんでみます』
遠慮がちに微笑むと、姉鷺は私の両肩をポンポン!と叩いた。
なんだか肩の力が抜けて、本当に寮生活が楽しみになって来たのだった。
寮での生活を撮影すると言っても、ずっとカメラが回っているわけではない。
2泊3日を、1時間に凝縮するのだ。カメラが寮に入るのは、朝と晩のみ。昼は普通に仕事が入っているからだ。まぁ、それでも撮れ高は十分だろう。
果たして、3人 いや4人の共同生活は上手くいくのだろうか。
いよいよ撮影日がやって来る。