第52章 D.C
「春人くんが俺のお隣さんか!嬉しいなぁ。よろしくお願いします」
『あ、よろしくお願いします…』
「春人の奴、龍の天然パワーに流されてるぞ」
「何だかんだ、いつも受け入れるの早いよね。プロデューサーって」
まさか、こんな強引な形で私も巻き込まれてしまうとは。姉鷺からの、とんだサプライズ。無駄だとは思いつつも、若干の抵抗を示してみることにする。
『私に、拒否権は』
「「ない」」
まさかの、楽と姉鷺のダブルパンチが返ってきた。
「アナタの事だから、調べてるんでしょ?今の自分が、メディアでどんなふうに取り沙汰されているのか。まだ少数だけど、アナタに注目している人間がいる。
“ 謎のイケメンプロデューサー ” “ メンバーと仲良しプロデューサー ” なんて声が飛び交ってる。
このファンが抱いている好奇心を突かない手はないわ!TRIGGERのプロデューサーとして、何だって利用するのが アナタのやり方でしょ?」
TRIGGERのファンが、私に対して興味を抱いているのは認知していた。たしかに、このタイミングで私の露出度を増やす事はTRIGGERの為になるだろう。それは理解しているつもりだ。しかし…
「ボクは、プロデューサーを出演させるのは気が進まないけどね」
天は、姉鷺に意見した。
おそらく私と同じことを懸念しているのだろう。それは、私の正体がバレること。
私のテレビ出演が増える事によって、もしかしたらLioと私を結び付ける人間が現れるかもしれない。
「あら。天がそう言うなんて意外ね。でも、べつに彼をガッツリ出演させる必要はないわ。
ただ画角の端っこに見切れさせるだけでもいい。ただ一言二言こぼすだけでもいい。それだけでも、十分に役目を果たせるんじゃないかしら」
「……まぁ、そういうことなら。許可します」
なぜ天がGOを出す。べつに私もそれで構わないが…。