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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第51章 腹いせに変なとこ触ってやる




「はい!それでは 皆さまお待ちかね!答え合わせのお時間がやってまいりましたー」


まるでクイズ番組の司会者よろしく、大和が両手を合わせた。
彼の前には、風呂でしっかりと体を温めた環が鎮座している。その表情は、少しむくれているようにも見えた。


『答え合わせの前に、MEZZO"のマネージャーさんに連絡してあげて下さい。もしかして今頃、必死に探してるんじゃないですか?』

「私が電話をして来ます」


そうして一織が席を外した。少し離れた場所で、通話を始める。
そんな彼を大和は一瞥してから、続きを話し始めた。


「で?なんでタマはここにいるんだ?たしか、局に泊まりのはずだろ?」

「みっきーが、そーちゃんにメッセ送ったろ?中崎さんが、今日、寮に泊まることになったって…
皆んなだけずりーじゃん!!俺だって…俺だって、中崎さんと会いたかったのに!なんで俺がいないときに、お泊り会なんかすんだよ!」

「いや送ったけど…!でもしゃぁねぇだろ!?お前ら2人は仕事だったし、春人の泊りだってなぁ、この嵐のせいで急遽決まったんだ!」

「それでもヤダ!!イヤだったらイヤだ!」


片頬をぷっくりと膨らませ、そっぽを向いてしまう環。メンバー達は、やれやれ と肩をすくめた。もはや、彼のワガママには慣れっこなのだろう。

私は、プリプリと駄々をこねる環に語りかける。


『だからって、この嵐の中1人で帰宅するなんて危ないでしょう。一体どうやってここまで帰って来たんですか』

「……走って」

「信じられない」


天が、ポツリとこぼした。その言葉を受け環は、初めて身を小さくした。そして、こちらを上目遣いで見て問う。


「…中崎さん、怒って…る?」


本来なら、怒るべき場面なのだろう。しかし、どうしても怒りの感情は湧いてこなかった。

私は思い出していた。自分が環に送ったメッセージの内容を。

《 私が今 アイナナ寮にいること。豪雨の中 無茶をして帰って来ようとしないこと。周りの人の指示にきちんと従うこと。もし今日会えなくても、今度またゆっくり会おう 》

彼は、このメッセージを どういう気持ちで見たのだろう。

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