第51章 腹いせに変なとこ触ってやる
「メンバー以外の何者かが、館への侵入を試みようとしている。それはもう明白だった」
大和は、ノリに乗っていた。今までよりも一層の感情を込め、話を進める。
外は相変わらずだ。大粒の雨が、窓を叩いている。風は轟々と音を立て、建物全体を揺らさんとする勢いだった。
「恐怖と不安からか、メンバー達の雰囲気も悪くなる。お前が仕組んでいるんだろう。どうせお前の差し金だろう。無実の者を責める人間もいた」
『二階堂さん、責められたこと 地味に気にしてたんですね』
「否定はしない。
そんな険悪な雰囲気の中、事態はさらに悪化する。館の周りをうろつく何者かは、ついに強引な手段で侵入を試みたのだ。
ガシャーンと、窓ガラスの割れる音が館に響き渡っ」
ガシャーン!
もう、誰も何も言えなかった。言葉が出て来なかったのだ。
「…おいおい。嘘だろ?さすがに出来過ぎ…」
「うわ!!ナギが白目剥いてる!!」
「ちょっと六弥さん!アイドルがそんなに面白い顔をしないで下さい!」
「…プロデューサー」
『はい。もしかすると、何者かが…入って来たのかも』
私が言うと、あちらの世界へ旅立つ寸前だったナギが、瞬時に帰還した。
「NOーー!!もう嫌です!ワタシは、もう1人部屋に閉じこもってじっとしています!!」
「ナギやめろ!!それ、1番に死ぬ奴が取る行動パターンだぞ!!」
『和泉三月さんの言う通りです。まぁ、おそらく死にはしないでしょうが。ただ、1人になるのは得策ではありません。危険です』
私の言葉に、バタバタと暴れていたナギがピタリと止まった。
そして、一織が言う。
「本当に…何者かが侵入して来たとでも言うのですか?」
『否定は出来ないでしょう。私が様子を見て来ます。天は私の傍に。何かあった時に対処出来ない』
「 “ 何か ” とは一体 何ですか!?九条氏だけズルイです!!ワタシの事も守って下さい!!」
私が最優先で守るべきは、天だ。しかしだからと言って、他のメンバーを放置するのも たしかに気が引ける。
さて、どうしたものだろうか。