第51章 腹いせに変なとこ触ってやる
「奇しくもその日は、今日と同じ 嵐の夜だった。本来なら、楽しいパーティになるはずだったんだ。
そこは、とある森の奥にある洋館。集まったのは、男女含めて7人だ。酷い雨風のせいで停電が起こり、外部との連絡も一切取れなくなってしまった。怖くなった 7人の内の1人は、早々にベットに入った。
残った6人は、同じテーブルに着いて 夜が明けるのを待っている…」
「OH MY GOD!!い、いまのワタシ達と、同じ状況ではないですか!?」
なるほど。
聴く者が今置かれている状況と酷似した話を聞かせることで、リアルにその場面を想像させる。さすが大和だ。こういう事をやらせると上手い。
「6人は、わずか5本の蝋燭を囲んで、必死に恐怖心と戦っていた。いつ帰れるのかも分からない、何かが起こりそうな不気味な雰囲気。誰もが、不安で仕方なかった。
その時だ。1人のメンバーが気付く。窓の外に、さっと走った人影に…」
「あれ、今…本当に窓の外に誰かいませんでしたか?」
「お、おい、一織…やめろよ、そういう事言うの。オ、オレは別に怖くないけどさ」
「イオリ!!シャラップ!!ワタシを脅かそうと、デタラメを言うのはやめてください!」
「いや…、そういう訳では…。でもなんか…すみません」
一織は、首を傾げた。
私も窓の外に視線をやる。しかし、人影などは見当たらなかった。この嵐の中、歩いている人間がいるとは思えない。おそらくは一織の見間違いだろう。
「話、続けるぞ…」
(へぇ。イチの奴、なかなか盛り上げてくれるじゃねぇの)