第51章 腹いせに変なとこ触ってやる
『こんなふうに全員で蝋燭を囲んでいると…怪談話でも始まりそうですね』
「季節外れじゃない?」
隣に座る天が言った。
ナギは、この手の話が嫌いなのか、大声を上げた。
「NO!!滅多な事を口にするものでありませんよ!!いくら神であろうと、この私が許しません!」
「え?あんた神なの?」
一連の事情を知らない三月が、首を傾げた。一織も知らないはずだが、興味すらないのだろう。一切の反応を示さなかった。
そんな2人を置き去りにして、私は口を開く。
『……あれは、4年前。私が実際に体験した出来事です』
「おわぁ!!なんか始まったぁ!」
「プロデューサー、意外とこの状況楽しんでるでしょ」
「はは。気持ちは分からなくもないよな」
「非常時にワクワクしてしまうなんて、子供ですか。まったく…」可愛いな
「WHY…!?この真っ暗闇を楽しめるなど、どうかしています!」
テーブルに両肘を突き、手を組む。その組んだ手で口元を隠し、普段より声を低くして続ける。
『私は、パソコンゲームを嗜んでいました。しかし部屋の電球が切れ、辺りは今のように暗闇。家には換えの電球も、食べ物もない。そんな状況の中、ひたすらにゲームをするという生活…』
「いやいやいや、どんな生活だよ!!」
「その生活自体が、軽くホラーだな…」
三月と大和が華麗な突っ込みを入れるも、さらに続ける。
『そろそろ、水だけで空腹を紛らわすのが難しくなって来ました。その時、私は思い出したのです。
そうだ…たしか、食べかけのスルメがどこかにあったはず。
私は手探りで、デスクの引き出しを弄ります。すると、それらしき物の感触が手に当たりました。
やった、スルメだ!やっぱりあったんだ。私は、輪ゴムで封をしてあったスルメを早速食べることにしました』
「キミ、どうしてそんなにスルメ好きなの?」