第51章 腹いせに変なとこ触ってやる
「ブレーカーも弄ってみたんだけど、やっぱ駄目みたい」
「この風のせいで、電柱でもやられたのかもな」
「ボクは、陸の様子を見てくる」
『私も行きます』
私と天が、揃って立ち上がりそうになったのを、三月が制止する。
「陸の部屋なら、さっきオレが覗いて来たよ。元々寝てたからな、停電に気付かず今も休んでる。起こさなくてもいいんじゃねぇかな」
「そう。それなら、そっとしておくよ。ありがとう」
天が礼を言った時、廊下の奥が光る。そして、その光は徐々にこちらに近付いて来た。
ここにいる私と天、三月と大和は、目を凝らしてそちらを確認する。
ゆっくりとやって来たのは、2つの影。
「ちょっと六弥さん、少し離れて下さい。歩き辛いです」
「NO…そう言って、イオリはさきほど私を置き去りにしようとしました」
「それは、あなたがいきなり私に飛び付こうとしたからでしょう」
「それは仕方がないことでしょう!暗闇、怖いです。お化けが出るかもしれません。ワタシのことを、決して離さないで…」
「お断りします」
どうやら、廊下で動けなくなっていたナギを一織が拾って来たらしい。
懐中電灯を持った一織に、ナギがへばりついている。そんな状況に辟易した表情で、彼はこちらへやって来た。
リビングに集まったのは、これで6人となった。私達は、これからどうするかを話し合う。
「まぁ、すぐ復旧するでしょ」
『こんな事なら、早目にお風呂を頂戴しておくんでしたよ』
「同感」
「ワタシは、もう少しでチャンピオンになれるところだったのに!チームメイトに、申し訳が立ちません…!」
「そんなん不可抗力じゃんか!チームメイトも分かってくれるって」
「はぁ…。どうします?いっそ、私達ももう休んでしまいましょうか」
テーブルの上に立ち並んだ、5本の蝋燭。淡い光ではあるが、これだけ集まれば明るさも それなりに保てている。