第50章 お慕い申し上げておりました
「Lioが、Ipex界に姿を現したのは、約4年前と言われています」
「ナギ。せっかく気持ち良さそうに話してるとこ悪い。ちょっと待て」
「プロデューサー。その髪、面白いからやめて」
『あぁ。忘れてました』
私自身も忘れていた。前髪がちょんまげ状態だったことを。どうやら2人は、この髪型のせいでナギの話が入って来なかったらしい。
すぐに輪ゴムを外す。すると天が、続けて。と話を促した。
「YES. Lioは、なんとゲームを始めて、わずか1週間でプレデター帯にまでのし上がったのです!」
「「えっ…!!」」
2人は、ナギの言葉を聞いて私に向き直る。しかし。すぐにその頭の上には、はてなマークが浮かんだ。
「それって…」
「凄い、のか?」
「…ふぅ。なんと、嘆かわしい。この偉業を理解出来ないなど」
まぁ、ゲームをやらない人種からすれば、チンプンカンプンであろう。
『まぁ当時は、1日に24時間くらいやってましたからね』
「ボクがキミに、1日は何時間で構成されているのか教えてあげようか?」
「算数のお勉強は後にして下さい。続けてもよろしいですか?」
「はいはい、どうぞー」
ナギは仕切り直して、再び胸に手を当てて話し始める。
「ゲーム内ランキング1位に君臨するにも関わらず、Lioは大会などには一度も姿を現しませんでした。さらに、どのような猛者がフレンド申請をしても、それを拒否しました。その徹底した孤高っぷりが、さらに皆の興味を掻き立てたのです。
……ちなみに、ワタシもフレンド申請をして、バッサリと断られた事がありますよ」
『それは申し訳ないことを…』
たしかに、私の元にはかなりの数のフレンド申請が届く。いちいち拒否のボタンを押すのも面倒になっていたので、最近は申請すら出来ないように設定を見直したところだ。
「そんな、全プレイヤーから注目されるLioが、最近またIpex界を震撼させました…
アナタが!フレンドを作ったことで!!」