第50章 お慕い申し上げておりました
先ほどの攻撃で、敵のいる位置は分かった。
Peachが回復している間、そちらの方角へ威嚇射撃を行う。
「なんと卑劣な…。純粋にプレイを楽しむ人間にとって、これほどまでに憎い存在はいません。
しかし、チーターのイカサマは驚異です。どうするつもりですか、春人氏」
『私…駄目なんですよね』
「??」
『チーター、死ぬほど嫌いなんです。絶対に許せない。と、いうわけで、全力でヤりに行きます』
「YES!その言葉を待っていました!ワタシも協力します!」
Peachの回復が終わる。
今後、遮蔽物は一切使えなくなった。姿を隠したとしても、相手は壁を貫通させる攻撃を仕掛けてくるのだ。このままこの位置にいては不利でしかない。
私達に残された道は…
『一気に距離を詰めます。私が飛び出した瞬間、敵は攻撃してくるでしょう。私はあえて、その攻撃をくらいます*22
六弥さんは、その方角の正確な数値を確認後、私に教えて下さい』
「任されました…!」
私は単独 飛び出した。即座に攻撃が加えられる。ジャンプを入れてヘッショを避ける。足に被弾した瞬間、ナギが叫ぶ。
「NE60です!」
『北東…』
そちらの方向は山の斜面だ。あちらは高所。こちらは低所。位置的不利は確定だ。
しかし、止まってはいられない。こちらの位置はバレている。本来であれば身を隠すが、遮蔽物が使えない今、それは悪手だ。
ただひたすらに、敵へと直走る。
Peachも、私の後ろを着いて来てくれている。
私には機動力があるので、ある程度の弾は躱せる。ワイヤーを駆使して、出来るだけ複雑な動きを心掛ける。
こうしてヘイトを私が買えば、Peachへの被弾は少なくて済む。
ようやく敵の姿を視認出来た。敵はライフルからアサルトに持ち替える。
どうやら、敵は1人のようだ。仲間は既に死んだか、チート行為に気が付いてチームを抜けたのだろう。
「GO!GO!」
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*22 攻撃をくらう…被弾すれば、相手がどこから撃ってきたのか 正確な方角が表示される。