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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第50章 お慕い申し上げておりました




「 AMAZING !!!」


「「………」」


振り上げられたままの天の拳は、ピクリと反応した。
その場違いな叫び声は、ナギの部屋からだ。思わず2人して、その方向を見てしまう。

このシリアス展開を、あんな間抜けな声に邪魔されては堪らない。天も同じ気持ちなのだろう。あちらへ向けていた顔を、また戻した。


「…ボクを子供だと言ったこと、訂正して」

「どうしようかなぁ?
もし俺が、断るって言ったら?」

「この拳を、振り下ろすことになる」

「わぉ。かっこいい。殴るなら顔以外でお願いね」


「 FANTASTIC !! OH MY GOD !! 」


「「………」」


もう、さすがに触れない訳にはいかない。天は隠すことなく舌を鳴らした。


「お前さんが、扉を少し開けておけ。なんて言ったせいだからな」

「好きな子が他の男と密室で過ごすなんて、耐えられるわけないでしょ」

「!!
ははっ、違えねぇわ」


それからすぐに、天は俺を解放した。前のめりになっていた体を、真っ直ぐに戻す。
乱れた襟を正して、目の前の男を見やる。


「殴んねぇの?」

「ボクの手が痛むから、やめてあげる。良かったね」

「…そりゃどうも」


間抜けな叫び声を上げるお仲間に救われたね。そう言って天は笑った。
その笑顔を見つめれば、頭に集まっていた血液が徐々に下るのを感じた。


「あー…なんだ…その、九条。悪かったな、お兄さん、ちょっと大人がなかっ」

「でも勘違いしないで。キミの品性の欠片もない発言を許したわけじゃないから」


憎悪で尖った瞳が、ガッシリと俺を捉えた。


「や、やだなぁ〜九条先輩、そんな怖い目で見ないで下さいよ。そんな凶悪な目付きして、一体なに考えてんですか…」

「話しかけないで。今ボクの頭は、さっきの発言をどう利用すれば キミが最大限のダメージを負って地にひれ伏すのかフル回転してるところだから」

「本当に申し訳ありませんでした!!」


どうやら俺は、厄介な男を敵に回してしまったらしい。

だが、どれだけの強敵と対峙することになろうと、引くわけにはいかない。

エリをこの手中に入れる その日が来るまでは。

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