第49章 天にぃとラブラブだぁ
「み、皆さん!お疲れ様でした…」
紡の言葉に、何も返せない。全員がぐったりと脱力状態だった。
「本当に…どうなる事かと思いましたよ」
「SORRY…さすがにワタシ、やり過ぎました。ちょっぴりだけ」
「ちょっぴりじゃ、ねぇよ…」
大和は、ナギの肩に後ろから手を置いて言った。
私は手にしてトロフィーを2つともテーブルに置いてから、三月に向き直る。
『貴方の機転のお陰で、大事に至らずに済みました。ありがとうございました』
「いや、迷惑かけたのはこっちだから全然いいんだけどさ…。あんた、大丈夫か?モロ顔、映っちまったけど」
『まぁ、メディアへの顔出しは初めてという訳ではないので、大丈夫かと…』
以前、TRIGGER新曲発表の際、記者と会話でカメラの前に立った事がある。
【32章 715ページ】
とは言っても、あの時はマスクをしていた。今回は春人の丸出しである。
『まぁ、今回は全国放送でもテレビでもないので。私なんて顔を出したところで、騒ぐ人間などいないでしょう』
「そうかな」
天は、無表情で言った。そして、パソコンの画面をこちらに向ける。これを見ろ、とでも言いたげに。
そこには、全く目で追えないスピードで流れる コメントの嵐。
「はは。コメント…早くて読めないけど、俺には何が書いてあるのか 大体分かっちゃうなぁ」
大和はニヤついて言った。
『……紡。今回の配信って、アーカイブには…』
「の、残ります…」
『ですよね』
肩を落とす私を慰めるように、彼女は続ける。
「で、ですが!アーカイブは、いつも編集した物を上げ直すんです!なので、春人さんが映ってしまった箇所は、私が全責任を持ってカットします!!」
『…よろしくお願いします』
丁寧に頭を下げる私の後ろで、陸が無邪気な声を上げる。
「じゃあ さっきの王子様みたいなプロデューサーを見られたのは、生放送を見てた人達だけなんだ!
その人達、凄くラッキーだね!」
私は、アンラッキーだ。