第49章 天にぃとラブラブだぁ
天は、じっと こちらを見つめていた。指示を仰いでくれているのだろうか。
そして、隣には スケッチブックとペンを差し出す紡がいた。私はそれを受け取って、サラサラと文字を書く。
《 やっておしまい 》
「ははっ」
「??
合戦の前に、笑みをこぼすとは…。それはワタシへの宣戦布告と見ても、よろしいのですか?」
「…ふふ。いいよ。何をやるのか知らないけど、今度はリベンジなんて考える気も起きないくらい…叩きのめしてあげる」
黒い笑顔で微笑む天は、とてもじゃないけど王子様には見えなかった。しかし、誰もが その小悪魔的な微笑に心を奪われたことだろう。
さて、ここからが大変。
私と紡で、急遽 お題を探さなくてはならないからだ。生放送なので、フリートークで繋ぐのも限界がある。
コメントなどからヒントを貰い、適当なお題を見つけなくては。残り時間的に、1つでいい。
結局、私達が選んだのは…
「 “ 王子様っぽく、女の子をデートに誘う台詞 言ってみよう! ”
はい!これで行きます!」
「GOOD…得意分野です…」
三月からお題を聞いたナギは、胸に手を当てて囁くように言った。
「主役の2人はトリだから、一織から行ってみようか!」
「えぇ!?私ですか!?」
「ちょ、ちょっと待て!!もしかして、これ全員やらされんの!?」
「えぇー!オレ全然 自信ないよ!」
猛烈な反発を見せる3人。そんな彼らに、三月は現実を見せ付ける。
「だってほら、カンペに」
三月の指差す方へ顔を向ける5人。そこには、私がカンペを持って立っている。
スケッチブックには、全員 強制参加の旨が記されていた(MC以外)
大和の視線が、チクチクと私を攻撃してくる。よほどやりたくないと見える。