第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?
『私はTRIGGERのプロデューサーだって言ってるじゃないですか!
それに…もう今日のスケジュールは終わったでしょう。私は帰らせて貰います』
私の言い分を聞き、百と千は2人して首を傾げる。
「え?なに言っちゃってるの春人ちゃーん?まだ時刻は17時ですぞ?」にや
……え、まさか。
嫌な予感がよぎる。
「そうね。今日は深夜の24時まで続くよ?慌てん坊のシンデレラ」ふふ
『…そう、きますか』
「なんかオレお腹空いたなー」
「うん。フランス料理フルコースが食べたい気分」
また2人は、こっちの気も知らないで人の事をおちょくって…。
こうなったら、今日という日を最後までお付き合いするしかなさそうだ。
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『……どうぞ!!』
テーブルの上には、千 ご希望通りのフレンチフルコース。
「うわぁお!凄過ぎるって!うまそー!」
「僕、ベジタリアンなんだ」
『じゃあなんでフレンチって言ったんですか!』信じられないこの人!
場所は移り、ここは千が住むマンションである。
そしてテーブルの上では、せっかく時間と手間をかけたフルコースが泣いている。
「肉はオレが食べてあげるね、ダーリン!」
「モモ…」
私はエプロンを外しながら 2人の食事風景を、キッチンから眺める。
「本当は作らせるつもりなんて無かったんだけどね。今日一日付き合ってくれたお礼に、ご馳走しようと思ったんだ」
千は、前菜である野菜のテリーヌを ナイフで小さくしてから口へ運ぶ。
私の早とちりで、高級フレンチを食べ逃してしまったらしい。
『…そうだったんですね。ではそれは、また次の機会に』
「でもでも、こうやって春人ちゃんの手料理食べられて幸せ!」
百は、枝豆のポタージュの皿にスプーンを入れ 奥から手前にすくって言った。