第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?
撮影を終えた百が、私と話していた女性に飛びかかる。
「あ!やっぱ見に来てくれてたんだ!ありがとー!」
「お疲れ様!今日も楽しそうに撮られてたわね」
ゆっくりと歩いて来た千も合流した。
「僕達の為に、6ページもありがとうね」
「いいのよ!私が、また貴方達と仕事をしたいと思ったんだもの」
……なるほどなるほど。
“ 良いアイドルは、また一緒に仕事をしたいと思われる… ”
私は手帳に書き加えた。そして隣に、
“ 自分が自分を好きである事が大切 ” と。さきほど手に入れたばかりの情報も追記する。
「それより彼!Re:valeのファンなんですってー?可愛いわねぇ」
「あはは!そうでしょそうでしょ!ほんと めっちゃ可愛いの」
「あ、でも僕達以外はお触り禁」
『それはもう良いです!』
私達は女性にお礼を言うと、スタジオ内のスタッフに挨拶を済ませ。そして楽屋へと戻るのだった。
「カメラマンがね、最後の写真が1番良かったって言ってたよ!」
「あの一枚が撮れたのは、春人ちゃんのおかげだよね。ありがとう」
実は、撮影の終盤。私は1つだけ思った事を述べた。
撮影中、百は その持ち前の明るさを前面に出し、終始笑顔だった。
千はその逆で、クールさや微笑を浮かべた表情がほとんどだったのだ。
私は、その “ 逆 ” を見てみたいと思ったのだ。
百のクールな表情。千の満面の笑顔。それを一枚の写真に収められたら面白いのでないか と。
『ファンなら、普段とは違った貴方達も見たいのでは。と思っただけですよ。でもお役に立てたなら良かったです』
「ねーねー春人ちゃん」
百が、ソファに座った位置から 立っている私のスーツの袖口をくいくいと引っ張る。
「オレ達、格好良かった?」にひ
邪気の無い、心からの笑顔に毒気が抜かれる。
『…ふふ、そうですね。格好良かったですよ。かなり』
「……モモ、朱肉。はい春人ちゃん、ここに押印を」
『ちょ、それさっきの契約書じゃないですか!やめ、やめて下さい!』
千が取り出した、私を自分の事務所と契約させる為の書類。それに百が強引に私の指紋を押させようとする。