第48章 《閑話》とあるアイドルの誕生日
エレベーターの中で、何故か熱い話をしてしまった。俺達は最上階へ到着すると、早速部屋へと向かった。
「素質かぁ…俺にそんなモノが備わってるとは思えないけど」
『そんなエロい身体して、何言ってんですか』
「ちょ、春人くんまで俺をそんな目で見ないでくれ!
それにやっぱり俺は…その、女の人とエロいことをしたいとか そういう気持ちより、春人くんと楽しく過ごしたい気持ちの方が強いけどな」
そう言った時、ちょうど部屋に到着した。春人はカードキーをノブの下に当てがいながら言う。
『…そんなエロい見た目しておいて、そういう純な事をぽろって言うんですよ。貴方は』
「ごめん、嫌だった?」
『嫌じゃないですよ。むしろ、そういう所が…その、貴方の魅力だと…』
「??
ごめん、よく聞こえな」
『っ、だから…私は、ギャップに弱いって話ですよ。
ほら、これ貴方の部屋のキーです!』
春人は、それだけ言って俺にルームキーを押し付けた。そして、すぐに自分の部屋に消えてしまうのだった。
誰もいなくなった廊下で、独りごちる。
「…ギャップ、か。
ん?じゃあ俺は、結局どうしたら良いんだ?」
エロを極めれば良いのか?一見エロく見える純朴を目指せば良いのか?
少し悩んだが、意外とすぐに答えは出た。
「あ、違うな。
春人くんは “ 素の俺 ” が好きだって。言ってくれたんだ」
それに気付いた瞬間、顔がニヤニヤと緩んでしまうのを抑えられなかった。