第47章 《閑話》とあるアイドルの休日
それなりに忙しい売れっ子アイドルの休日。そう聞いて、一般の人はどんな1日を想像するだろうか。
セレブなパーティで豪華な食事?スポーツカーで海岸をドライブ?気になる異性と心ときめくデート?
そのどれもが、今日の俺には当てはまらない。
幸せな夢を見て最高な目覚めを迎え、そして悲しい生理現象によって地獄へ叩き落とされ。
それからプロデューサーに歯医者へ拉致されたあげく、最も知られたくなかった痴態を晒す事となり。
これから来るであろう仲間達と手の込んだ料理を作って、飲んで食って馬鹿騒ぎする。
それが、俺の休日だ。
「あー もう、腹が千切れる!苦しい、もうこれ以上笑ったら死ぬかも」
『笑い過ぎが死因なんて、幸せな人生でしたね。
ほら、インターホン鳴ってます。きっと天と龍ですよ。早く出て下さい、家主』
「家主とか、冷たい呼び方すんなよ。恥ずかしい自分を曝け出した仲だろ」
でも、こんな休日も悪くない。
《出るの遅い。何してたの。早く開けて》
《マンションの前で天と会ってさ!あ、良いワインあったから持って来たよ》
セレブな知人も、煌びやかなパーティも、ドライブもデートもなかったが。
とりあえず今日は、こいつらが隣にいれば 俺はご機嫌だ。
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