第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?
なんとか彼女に話を聞けないものか…。
などと考えていた その時。チャンスは唐突に訪れる。
カシャン。と、彼女のポケットからペンが地面へと落ちたのだ。
「あ、」
私はすかさずその場に屈み、落ちたペンを手に取る。
さりげなく眼鏡を外し、低い姿勢から女性を見上げて にこっと無邪気な笑顔を向ける。
『はい。どうぞ』
「あ…あらあら、ありがとうっ」
女性は、少しだけ上気した頬を隠すように 自らの顔に手をあてた。
「綺麗な子ね…、モデルさん?足長いわぁ…」
それはそうだろう。かなりのシークレットブーツを仕込んでいますからね。
まぁとりあえず、興味を持って貰う事には成功したようだ。
『あはは、そんな。とんでもないです。
実は、私 Re:valeの大ファンでして…今日は彼らの魅力に迫る為 密着させてもらってるんですよ』
前者は嘘だが、後者は本当。
「そうだったの。奇遇ね!私もあの子達大ファンなのよ」
また彼女がRe:valeの撮影風景に目を向ける。
その瞳はキラキラと光っていて。彼女が本当に、百と千が大好きなんだと 言葉は無しに語っているようだった。
相変わらず2人は戯れ合うように、楽しそうに被写体の役目を果たしていた。
カシャカシャと、無数に切られるシャッターの軽い音。目に残像を残す眩いフラッシュ。
『…あの、失礼ですが、いくつかお聞きしても良いですか?』
「えぇ、どうぞ」
全く嫌がるそぶりも見せず、彼女は快諾してくれた。
『どうして、Re:valeは…あんなにも輝いて見えるんですかね』