第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?
「え?出張?春人くんが?」
「そうよ」
「アイツはまた…!なんでいつも俺達に何も言わないで勝手にあっちこっち動くんだよ!」
「さぁ」
「で…出張って、どこに行ったんですか?」
「さぁねぇ」
(Re:valeのとこ♡)
———Re:valeのとこ
TRIGGERの面々が、そんな会話を繰り広げているなど全く知らない私は。
Re:vale撮影見学の真っ只中だった。
「いいねモモちゃん!その笑顔 超キュート!」
「ほんと!?じゃあもっとあげちゃう!イェーイ!」
「あれ?僕の笑顔はいらないのかな…」
「勿論ユキ君の笑顔も欲しいってば!ほら2人で笑ってみて!」
なんとも、見ているだけで楽しい撮影風景だ。
カメラマンが被写体を上手く“のせる” のが従来の撮影の在り方だと思っていたが…。
あの2人にかかれば、カメラマンの方がのせられているのでは?とさえ感じてしまう。
撮ってくれ!というよりは、撮りたい!と相手に思わせる あの2人の魅力は…一体なんだ?
「ふふ。今日も楽しそうね。あの2人は」
『!』
気が付けば、隣に30代くらいの女性が立っていた。
私と同じように、Re:valeを眺めている。その眼差しは優しく、微笑ましい物を見ている雰囲気だ。
彼女は…誰だ。
私はチラリと首から下げられた見学許可証を盗み見る。
すぐに女性の正体が分かった。
彼女こそが、今回の撮影の仕事をRe:valeに持ってきた張本人。
某有名女性雑誌の編集者だ。
おかりんの手帳には、何度も何度も彼女の名前が挙がっていた。
きっとRe:valeの2人についても詳しいはず。