第1章 もしかしなくても、これって脅迫ってヤツですか?
手段を選ばない方法を敬遠しないという点では、私と彼は似ているのかもしれない。
『…プロデュース期間は?』
「TRIGGERが、他に敵なしと言われるほどに、上へ登り詰めるまでだ。
奴らの事を、誰もが認める 唯一無二のトップアイドルに出来たその時は…お前を解放してやる」
社長の顔は、至って真剣だ。
冗談は言っていないのだろう。全部本気だ。
『…プロデューサーを引き受けるにあたって、条件があります。
今後、TRIGGERの全てを私に任せて下さい。
楽曲、振り付け、スケジュール管理からプロデュースのやり方まで。全権を私に委ねて下さい』
「…………」
私と社長の視線が衝突する。
その様子を、姉鷺が固唾を飲んで見守っている。
「…いいだろう。それが奴らのプラスになるならな」
『あ、それともう1つ』条件追加で
「後出しずるいわねぇ!」
聞くだけ聞いてやろう。と 社長は低く唸った。
お…?意外とこの人優しいのかも知れないぞ。
『…私が手塩にかけて育ててた、ミクという新人アイドルを…。
どうか、八乙女プロダクションのお力で密かにバックアップお願い出来ますでしょうか』
「……さっきの要求に比べたら、容易い条件だな」
『…ありがとうございます』
私は、社長に向かって深々と頭を下げた。
『じゃあ ちゃっちゃか誓約書持って来て下さい。さっさと約款目通してサインしちゃうんで』
私はバンバンとテーブルを叩いて姉鷺に催促した。
「なんなのよこの子!アタシは一応、アンタの先輩よ!?」キーっ!