第46章 貴方達となら、また
ガシャーーーン!と、ガラスの砕ける音が耳をつんざいた。おそらく、窓ガラスが割れたのだろうと 朧げな頭で思った。
しかし、体を持ち上げて 音のした方を確認する事すら出来ない。
そんな私を、誰かの腕は抱き起こした。
「ちょっと!!死んでんの!?」
『こ…ういう時って、ふつう “ 生きてる? ” って、聞くもんじゃないですか。せんぱ、い』
「!!
よかった…生きてる」
あからさまに、ほっとする彼女の声が優しくて。背中に回された腕が温かくて。
私は、病気を宣告されてから初めて泣いた。
『ぅ、…っ。う、
ま、窓…割っ、敷金が、もう 返って、来ない』
「どこで泣いてるんだ、あんたは」
泣き顔を見られるのも、こんな情けない姿を見られるのも恥ずかしくて。私は適当な照れ隠しの理由を口にした。
それからすぐに、MAKAの手によって風呂で荒々しく綺麗にされた。そして、大量の水と少量の米で作られた重湯を与えられる。
私が落ち着いたタイミングを見計らって、彼女は切り出した。
「マスターから、大体の事情は聞いたわ」
『そうですか…。それより先輩、大丈夫なんですか?こんなところにいて。仕事は』
「可愛い後輩が、ネトゲ廃人と化して1週間ご飯も食べないでお風呂にも入らないで死にかけてるんだよ?
そりゃロスから飛んで帰ってくるでしょ」
『…私、なんかの、為に』
MAKAは、私のその一言で 全てを悟ったようだった。
Lioが、この世に羽ばたく未来は もうないこと。
この命を落としても別に良いや。と、私が考えていたこと。