第6章 この子はオレとユキのお気に入りなの!
その後、八乙女事務所に戻り。私は社長のところへ 報告に行く。勿論、明日1日 Re:valeの臨時マネージャーになる事についてだ。
そこにはちょうど姉鷺もいた。明日は私の代わりにTRIGGERの事をお願いしようと思っていたので、都合が良い。
『と、いうわけで 明日は1日Re:valeの2人に密着する事になりました』
「…ッハハハ!でかしたぞ」
珍しくご機嫌で八乙女は笑った。どうやら彼も、私と同じ魂胆らしい。
「Re:valeの人気の秘密、しっかりその目で見定めてこい!盗めるものは盗んで、TRIGGERのこれからに活かせ」
「あらまぁ。まるでスパイね」
私は2人に頭を下げると、社長室を出る。
———翌日
「おー!これが八乙女事務所のリムジン!椅子やわらかーい!広ーい!」
「こらこらモモ、そんなにはしゃがない。ところで春人ちゃん。シャンパンはどこかな?」
『リムジンではなくただのワンボックスなのでシャンパンはありません。到着まで大人しく座ってて下さい』
隙あらばボケをねじ込んでくる百。そしてボケにボケを重ねてくる千。
相変わらず2人は朝から絶好調である。
「はーい!今日は1日よろしくねん!」
「よろしく。春人ちゃん」
『…こちらこそ』
おかりんこと、岡崎凛人の手記によれば 本日の予定は一件。雑誌の撮影だ。見開きで6ページ。14カットの写真を撮る。
今はその撮影スタジオへと車を走らせているところだ。
そして到着するなり2人は、楽屋で休憩も取らずに慌ただしく動き出す。
『…まだ撮影まで充分時間はありますよ?移動で疲れてはいないんですか?』
「平気だよ。移動には慣れてるから」
「いっーぱい挨拶回りしないといけないからね!時間は有効に使わなきゃ!」
…マネージャーがいなくても、自らの意思で 時間目一杯挨拶回り か。
相変わらずこの2人のバイタリティは見習うべきだな。