第45章 私のところに、帰って来て欲しい
思わず、胸の前で両手を合わせ 瞳を輝かせてしまう。そんな私の様子を見て、ぎょっと目を剥く 楽と龍之介と百の3人。ちなみに天は、ジト目をこちらに向けていた。
『はっ!』つい
「ちょ、ちょっと春人ちゃん!オレのセリフでしょっ、それは!」
「ふふ。いいよ。春人ちゃんもモモも、まとめて面倒みてあげよう」
『あぁ大丈夫です。ちょっとした気の迷いですので』
「ふぅ、相変わらず つれないね。君」
千が切なげに瞼を下ろした、その時。ついにスタッフから、ミクを呼ぶ声がかかる。
私達は最後に、一言ずつ声をかけ 全員で彼女を励ました。ミクは笑顔で、ステージへと駆け上がっていくのだった。
『ありがとうございました』
「僕達は、大した事はしてないよ」
『それでも、私には出来なかった事なので。助かりました。感謝しています』
「オレ達、後輩ちゃんを励ましたり元気付けるのは慣れてるから!」
それはとても、気配り上手なRe:valeらしい。
結局、彼らもミクの歌を聴いていくらしい。凛人に、この一曲を聴いたら すぐに楽屋に戻るよう約束させられていた。
『……』
(良かった。ミクが、笑ってる)
「緊張は解けたみたいだけど、青い珊瑚は難しい曲だよ」
隣に立つ天が、険しい顔で言った。そして、それに楽と龍之介が付け足す。
「青い珊瑚は、歌い出しがいきなりサビだ。しかも、物凄くキーが高い」
「最初の一音。その高音が伸びやかに出せるかどうか。それで全てが決まる」
それなら心配いらない。
私がそう口にする前に、スタッフによるカウントダウンが始まってしまった。
何故なら高音は