• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第45章 私のところに、帰って来て欲しい




どうにか頭は上げてくれたが、彼は地面に突っ伏したままだった。そのままの状態で、ぼろぼろと言葉をこぼす。


「ずっと、君に 謝らなければと思っていた。私は、私の会社と所属タレント可愛さに 君を八乙女宗助に売った!
あんなにも、Lioだと周りに知られるを嫌がっていたのに!よりにもよって、あの悪魔に 私は話してしまったんだ」

『仕方ありませんよ。あの状況では…』

「私が口を割ってからは、嫌がらせはピタリと止んだ。しかし、その代わり君は八乙女プロダクションに拉致も同然に移籍した。
そこからは、何故か我が社に追い風が吹いたんだ。明らかに八乙女プロの後押しだった。
私はすぐに気付いた。君が、八乙女宗助に働きかけてくれたのだろうと」

『あの時点で、私がミクの為にしてあげられる事は限られていましたから』


社長は強く瞼を閉じて、へたり込んだままで天を仰いだ。そんな彼の側に私はしゃがみ、寄り添った。


「経営が、上手くいけばいく程に 心苦しかった…君の犠牲の上に成り立つ利益を、見てはいられなかった。しかし、君はそんな私を簡単に許した。
“ 私は大丈夫だ。ミク達を頼む ” 頻繁に、そう連絡をくれたね…。

ありがとう。そして、本当に すまなかった。どう償えば良いのか、私には分からない…」

『社長。本当に、もう気に病まないで下さい。お願いします』

「そうは言ってもだな…。そちらでは辛い思いはしていないか?そんな格好をさせられているのも、TRIGGERを売るためのプロモーションの一環なんだろう?
あぁ、本当に…君にばかり大変な思いをさせてしまって!私は…私はっ」


まるで、学校でいじめられている子供から、親が話を聞き出すような具合だ。
私は照れくさくなり、頬を人差し指でかいた。


『たしかに最初は この姿も面倒でしたけど。でも今では、春人に愛着すらありますし。

それに… “ ここ ” の居心地は、そんなに悪くないです。

社長が思われているより、私は存外 楽しくやれていますよ』

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp