第45章 私のところに、帰って来て欲しい
「…へぇ。TRIGGERが最強、ね。よくも堂々と、僕らRe:valeの前で言えたものだな」
あ。これはいけない。千の目が、割とマジだ。
「悔しいっ!悔しいよ!オレ達だって頑張ったのに!モモちゃんだって、春人ちゃんに褒められたいよぅ〜!」
瞳に涙を溜めた百が、両手を広げてこちらへ飛び掛かってくる。
しかし。私へと到達する前に、何者かが百の背後からマントを掴んだ。
ぐぇ。と、首の締まった百の悲しげな声が部屋に響く。
「お願いですから…!他所様のスタッフさんに迷惑をかけないで下さい!」
『岡崎さん』
「褒めて欲しいなら、自分がいくらだって褒めてあげるじゃないですか。はい Re:vale最高!はい Re:vale最強!Re:valeかっこいー!」
「…おかりんの気持ちは嬉しいけどね」
「うーーん。違うんだよなぁ…」
そうは言いつつも、百と千は内心 嬉しそうであった。凛人は、さっき掴んだ百のマントをそのまま引き、出口へと彼を連れて行った。
「じゃあ、お疲れ様。また後でね」
「ちゃおーー♡」
千は、今にも説教を始めそうな凛人の背中をそっと押して。百は、こちらに向かってキッスを投げて。
TRIGGERの楽屋を後にしたのだった。
「…騒がし過ぎる」
「でも、あのワイワイした雰囲気が逆に落ち着くけどな」
「あのガヤガヤ感は、龍みたいに兄弟が多い奴向けなのかもな」
『まぁ楽は、ひとりっ子代表のような性格をしていますしね』
「どういう意味だ」
天と楽の顔には、薄い影が見える。それは、明らかに本番疲れによるものではなかった。