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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第44章 余裕たっぷりの顔して そこに立ってりゃいい




「うっわ!百さん!千さん!?いつからそこにいたんすか!」

「わっ。本当だ!い、いつのまに!」

「あはは!ハロー」

「やぁ。久しぶり」


気が付けば、Re:valeの2人が私達に混ざって 柱の影に隠れていたではないか。
なんとも心臓に悪い登場の仕方である。

とにかく、ここで騒ぐのはどう考えても得策ではない。と、いうわけで。速やかにTRIGGERの楽屋へと移動を促す。


扉を閉めるのと同時に、私は百千コンビに向き直る。


『お2人の楽屋には、私達の方から必ず挨拶に出向きますので。どうかそちらから来ないでもらえませんか。
TRIGGERは 先輩の方から挨拶に来させるのか。うわぁ天狗かよ。とか、周りに言われては迷惑なので』

「いやん。春人ちゃん、結構マジでおこ?」

「ごめんね。君に会えると思うと、足が勝手に出向いちゃって」


万物を溶かしそうな微笑みをたたえながら、千はこちらへと手を伸ばす。
しかし、それを良しとしない者がいた。


「千さん。申し訳ありませんが、彼に気安く触れないでもらえますか」

「…おや?」


天だった。

彼は 私と千の間に素早く移動すると、伸ばされた手を やんわりと退ける。
そのまま2人は、一見物腰の柔らかそうな笑顔で 相手の出方を伺った。

先に口を開いたのは千の方だった。


「…なるほど、君もこっち側へ来たってわけだね。ふふ、やっぱり。僕は最初から言ってたんだよ?
君達3人の中で、1番最初に抜きん出るのは天くんだろうって」

「余裕ですね。自分の方がリードしてるって顔をしてますよ」

「さぁ。それは、どうだろうね」

「宣言しておきますよ。ボクは、あなた方よりも “ 抜きん出てる ” 」

「……可愛いなぁ天くんは」

「は?」

「必死だな。って言ってるんだよ。
あのね。本当に前を行く者は、わざわざ後ろを振り返って 自分の方が前にいるぞ。なんて言わないんだ」


天も、口が上手い類の人間だ。が、上には上がいる。


「…2人は、一体なんの話をしてるんだ?」

「全く分からないけど、俺達は蚊帳の外みたいだね」

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