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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第44章 余裕たっぷりの顔して そこに立ってりゃいい




“ First Sound Entertainment ”
これが、私の以前いた会社の名前だ。現在もミクはここに所属している。

彼女の動向は、こちらの会社に移ってからも見守っていた。

ミクの深夜ラジオは必ずリアタイで視聴しているし、数少ない出演番組は絶対に録画して永久保存版として確保。もちろんCDは初版で全て揃え、行ける限りライブにも足を運んだ。

しかし…握手会や、サイン会など。
彼女と1対1で顔を合わせる場には、1度も赴いていない。

その理由は、ミクを悲しませたくなかったから。


『…私が貴女を、誰もが認めるアーティストにしてみせる。そんな約束しておきながら。
今は他のアイドルに就いている。なんて知ったら きっと、あの子は…』


そう考えると、一体どんな顔をして彼女に会えば良いのか分からないのだ。

仕事部屋で1人。物思いに耽る。
が、しかし。暗い気分になっている暇など、私にはない。

お世辞にもまだ有名とは言えない彼女の、初のメジャー番組!キー局での全国放送なのだ!
ここは是が非とも、影ながら力を添えねばなるい。


『…あと少しで、3人とも帰ってくる時間ですね』


腕時計に視線を落とし、また1人言葉をこぼす。あと1時間もすれば、姉鷺と共に現場に出ているTRIGGERが帰ってくるのだ。

おそらく。というか確実に、彼らは帰宅前はこの部屋に集まる。いつもは少し煩わしさすら感じる その慣習だが、今日ばかりは ありがたい。

それまでに、考え出さねばならない。

私とTRIGGERが一丸となり、彼女を完璧にバックアップする作戦を。

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