鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第2章 :再来〜再会と豹変❶
チリリリリン…
リリリリ…
風に乗って、鈴の音が聞こえた気がした。
しかしリヴァイにしか聞こえない為、確かめる事も出来ない。
チリリリリリ…
リーン!リリーン!リリリーン!
数分経ち、再度聞こえる。
最初と違う音が今度はハッキリと、リヴァイの耳に届いた。
だが…
(あいつの鈴…か?しかし…いつもと音が違う。)
まるで少女の危機を知らせるような激しい鈴の音に、リヴァイは胸騒ぎを感じ眉根を寄せる。
(…あいつにはここ半年の間何をしていたか、聞かなきゃいけねぇ事が山ほどある!だが今は…)
リヴァイはまだ目視出来ない壁の方角を鋭く見つめ、馬を走らせ続けた。
数分後…
本隊より先行していた兵士が戻って来た。
すぐさまエルヴィンの側へ、馬を並行させる。
「エルヴィン団長、報告です。…やはり、壁は壊されたようです。壁付近に巨人が多数集まっており、壁内に入るのは困難かと思われます。」
「やはりか…。まずは壁付近の巨人を、一掃する必要がありそうだな。」
エルヴィンはミケに目配せをし、指示を出す。
そしてミケはそのまま班員を連れ、壁に向かい馬を走らせた。
「あと、もう1つ報告が…」
「何だ?」
「雷の柱を、目視しました。」
「雷?巨人出現の際の柱か?!」
「いえ…私は2年前、壁外で同じ雷柱を見ました。そして我々はその雷に、命を救われたのです。絶対見間違いません!あの雷は…巨人のものではありません。」
兵士はエルヴィンを真っ直ぐ見つめ、ハッキリとそう答えた。
「えっ、2年前?それって…」
ハンジは大きく瞳を見開く。
「リン…か。」
「リンだ!リン…壁の中で巨人と、戦ってくれてるんだね。」
エルヴィンの静かな呟きと同時に、ハンジは嬉しそうに声を上げた。
ふと斜め後ろを見ると…驚く様子もなく冷静に壁の方角を見つめてるリヴァイに気付き、エルヴィンは首を傾げた。
「随分冷静だな、リヴァイ。お前が1番、取り乱すと思っていたが…もしかして何か、気付いていたのか?」
「…あいつの鈴の音が聞こえた。」
「鈴?リヴァイにしか聞こえない、リンの鈴だね!…リンは間違いなく、この壁内にいる。私達も早く合流しなきゃ!」
ハンジは嬉しそうに目元を緩ませ、ミケ達の後を追って行ったのだった。