鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第2章 :再来〜再会と豹変❶
壁上に…ふわりと白いものが舞い降りる。
『無事で良かった…エレン!』
そう言って少女は、少年の首に抱き着いた。
「「「えっ?!」」」
突然現れた白い服の少女に、3人の少年少女達は目を見開く。
「リンねぇ?!」
「リンさん?!」
『久しぶり!エレン,サシャ,コニー。』
少女:リンはエレンから離れると…黒くて長い髪を揺らし、にこりと笑った。
「なっ…何でリンさんが、此処に?」
コニーとサシャは困惑し、巨人が現れた時よりオロオロしている。
『そんな事より…今大変な事が起きてて、それに私の力も必要だって分かってる。エレン、状況を教えて!』
「ッ…あぁ。大型巨人が現れて、扉を破壊した。その扉から大量の巨人が、街へ入って来てる。これからその掃討作戦が始まる。リンねぇにも巨人掃討を、手伝って欲しい!」
『任せて!』
頼られて嬉しい少女は、満面の笑みでエレンの両手を握る。
「これから集合して作戦を聞いて来るから、リンねぇはその…」
『うん!ミカサとアルミンの様子、見て来るね!』
「…頼む。」
強い瞳で、少女を見つめた。
『サシャとコニーも、死んじゃダメだよ。怪我したら、私が治してあげるから…無茶はしないで。』
「…分か…った。」
「…分かり…ました。」
2人は恐怖と緊張で、顔が強張っている。
『そこの2人、口開けて!』
「「えっ?!」」
『早く〜く〜ち〜!』
「あっ…あ〜」
2人同時に口を開けると、コロリとしたお菓子の甘さが口の中に広がる。
「えっ…」
サシャは嬉しそうに、口元を押さえた。
『無事に会えたら、もっと美味しいもの食べさせてあげるから…生きてまた会おうね!』
2人の頭を優しく撫でた。
「ハイ!」
「おう!」
2人の顔から、緊張は消えた。
『…ミカサとアルミンは生きてる。ジャンやクリスタの気配もちゃんと感じる。大丈夫…私は私の、出来る事をするだけ。』
少女は壁を降りるエレン達を見送り、空を仰いて1人呟いた。
風が…
少女の髪と白い服を靡かせ、
この場の誰にも聞こえない鈴の音が鳴り響く。
そしてその音は風に乗り、壁外まで流れた。
その鈴の音を壁外で聴く男がいる事を、気にも止めずに…