鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 幕間❶ 星は見ている
〜深夜〜
シンとした地下牢に、1つの気配が降り立った。
「!?…誰だ?」
眠れずにいたエレンは目を凝らし、気配の方を見つめる。
『まだ起きてる?』
「…リンねぇ?」
少女はニコリと笑い…
『ちょっと、付き合って。』
エレンの手を取り、牢から外へと飛んだ。
「寒い…」
エレンはぶるりと身体を震わせ、自身の両腕を抱きしめる。
飛んだ場所は古城の屋上だった。
少女は持って来た膝掛けを、そっとエレンに手渡す。
『ごめんね。でも…どうしてもこれを、エレンに見せたかったの。ホラ…』
そう言って少女は、暗い空に大きく手を広げる。
そこには…
宝石のように散りばめられた、無数の煌めく星々…
「スッゲェ〜!!」
エレンも空を見上げ、感嘆の声を上げている。
『地下牢に居たら、こんなの見えないでしょ?星空はやっぱり、広い場所で見なきゃ!』
少女はそう言って笑うと、敷物を床に引き寝転がる。
『来て…』
そしてポンポンと自分の横を叩き、側に来るよう促す。
「うん…」
エレンは素直に横に寝転んだ。
『エレン…もし1人ぼっちだと感じた時は、星空を見上げて!この星達は亡くなった人の魂だから…きっとカルラもあそこにいる。あの戦いで亡くなった貴方の友達も貴方を、みんなを見守っているから。』
「……」
(母さん…トーマス,ミーナ,ミリウス,ナック…)
10歳の時亡くなった母と、トロスト区防衛戦で共に戦い…側で巨人に食われた仲間達を思い出す。
『それに…私やミカサ、アルミンの事も思い出して。私達幼馴染はずっと、エレンの味方だよ。』
2人は横向きに見つめ合い…少女はエレンの手をギュッと握る。
「…あぁ、ありがとな。」
エレンは照れながら頬を緩めると、少女の手を握り返した。
暫く2人で星空を眺めていると…
「てめぇら…いつまで此処にいやがる!」
リヴァイが腕を組み、仁王立ちで佇んでいた。
「勝手に抜け出して、申し訳ありません!!」
エレンはガバッと起き上がると、急いでリヴァイに敬礼する。
「チッ、早く戻れ!」
「はい!」
先に戻ったエレンの背を見送り、少女にも声をかける。
「お前も戻れ!風邪を引く…」
(…グリシャ、何処にいるの?)
星空を見つめ続ける少女の肩に、そっとブランケットをかけ…リヴァイは先に去った。