鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第3章 :大切な人〜再会と豹変❷
「リンさん!!」
城の屋上で、消えた少女を見つける。
『何で…(追って来るの?)』
「エレンを連れて、また私達壁外調査に行くんです。」
『知ってる…けど』
「壁外調査の過酷さを、リンさんは知っていますよね?私は兵長や班員・人類の為に死んでも後悔はありませんが、1つだけ心残りがあります。それを残しては死ねません!」
『心残り?』
「私は…リンさんと昔みたいに普通に話したい。一緒にご飯を作って食べ、お茶もしたいんです!」
『それは…無理よ。あなた達と知り合いだって、他の人に思われたくない。』
「だったら…この城だけではどうです?この古城は私達だけです。リンさんに、何か事情があるのは分かりました。でもこの古城内と周辺なら…変な目で見る人はいません。」
『……。』
「壁外調査へ行くまでで良いので、一緒に過ごしてくれませんか?私の願いを叶えられるのは貴女だけです。お願いします!」
ペトラはペコリと頭を下げる。
少女は無言でペトラを見つめた。
〔此処なら良いと思う?〕
〔こんな辺鄙な所に、奴らも来ないだろう〕
〔そう…だよね!〕
『分かった…いいよ。』
少女は素気なく答える…が、実際嬉しくて仕方なかった。
誰かと話をしたかった。
またお茶をしたかった。
本当は…寂しかったのだ。
「ありがとうございます!!」
ペトラは顔を上げ、少女の両手を握った。
「では…早速ですが、一緒に夕飯作りましょう!リンさんが作れば、エレンも(兵長も)喜びます。」
『そう…かな?』
「ハイ!せっかくだから、エレンの好きな物を作ってはどうでしょう?」
『…だったら作りたい物があるわ。エレンが好きなスープを作りたいの。』
「いいですね!では早速準備しましょう!」
ペトラは少女の手を取り、台所に向かう。
『チーズはある?』
「そんな高級な食材、ここにはありませんよ。」
『そう…じゃあ私が買って来る。先に他の食事の準備をしておいて。』
「チーズ…買ってくれるんですか?」
『だって必要だもの。』
「そうなんですね…分かりました!」
その後…
チーズを購入し帰った少女とペトラは、一緒に食事の準備をした。
その光景を目撃したリヴァイは、密かにほくそ笑んだのだった…。