鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第3章 :大切な人〜再会と豹変❷
「兵長!リンさん、喜んでました。」
リヴァイの指示で、少女を天窓の部屋に案内したペトラは…掃除中の部屋に報告に来た。
「…そうか。」
リヴァイは素気なく返す。
「兵長はあの部屋を、いつ知ったのですか?」
「下見の時だ。」
「そうなんですね!」
(もしかしたら兵長は…ご自分の部屋にしようと、していたのかもしれない。リンさんが突然古城に来る事が決まって、急遽リンさんの部屋にしたのかも…)
少女がいなくなってから、よく晴れた夜に星空を見ていたリヴァイを思い出し…ペトラは思った。
「部屋の掃除は?」
「ご自分ですると、仰ってました。」
「分かった。手間をかけたな…掃除に戻れ。」
「了解しました!」
ペトラは敬礼をし、部屋を去って行った。
(あいつの事だ…どうせ俺の指示だと、分かってるだろうな。)
リヴァイはペトラを見送り、掃除を再開させた。
数時間後…
食事の用意を手伝って貰おうと、ペトラは少女の部屋を再度訪れる。
そして扉を開けたと同時に、悲鳴を上げた。
「リンさん!危ないです、降りて下さい!!」
天窓の掃除をしようとしたが、小さな少女には手が届かず…テーブルの上に更に椅子を乗せ、その上に立っていた。
『でも、天窓の掃除が…』
「誰か呼んで来ますから!」
不安定な場所に立ってるのも心配だったが…スカートの裾から見え隠れする太腿が、気になって仕方ない。
(リンさん、色んな意味で危険です!)
「待ってて下さい、すぐ呼んで来るので!リンさんは椅子から降りてて下さいね。エルド〜!!」
ペトラは走り出す。
エルドとグンタは同じくらいの身長だが…馬の様子を見に行ったグンタより、エルドの方が早いと考えた。
「エルド!!」
「ペトラ?コンロの調子でも悪いか?」
「まだ食事の準備はしてないわ!」
「おいおい、早く始めないと兵長に…」
「そんな事より、今はリンさんが大変なの!」
「大変?」
「早く、一緒に来て!」
少女に何かあったのであれば、先にリヴァイに報告するべきなのでは?と思ったエルドだったが…とりあえずペトラに着いて行く事にした。
そして開け放たれた部屋の中を見て、絶句する。
(確かに…これは一大事だ)
エルドは顔を半分を手で覆い、ため息を吐いたのだった。