鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第2章 :再来〜再会と豹変❶
「幼馴染?でも幼馴染は、評議会にいたアルミンとミカサでしょ?」
ハンジが首を傾げ、エレンに問いかける。
「リンねぇは、あの2人に会う前の幼馴染なんです。俺の父さんとリンねぇの父さん:カイさんは友人同士で…小さい頃からリンねぇを連れて、よくうちに遊びに来ていました。母さんもリンねぇを、娘のように可愛がってて…家族絡みの付き合いだったんです。」
エレンは昔の事を思い出し、切なげに笑った。
少女はエレンの表情を見つめ、横から手をギュッと握る。
「家族絡み…えっ、待って!じゃあ何で、リンは評議会に呼ばれなかったの?エレンの両親を知ってるなら、君こそ話を聞く必要があったはずでしょう?」
「権限の許可の力か…?」
ハンジの言葉にエルヴィンが呟く。
『議会で、私があの人達に話す事なんて…何もない。』
少女は立ち上がり、凛とした声で言葉を紡ぐ。
『私はエレンを子供の頃から知ってる。私の知ってるエレンは普通の男の子だった。家族や友達想いで、勇敢で優しい…私の大切な弟。その大切なエレンを、大勢の大人達の前で吊し上げ尋問する…それを私に見せて、何を話せと言うの?』
(私が評議会に出なかったのは、それだけが理由じゃないけど…)
リンは数時間前に交わした会話を、思い出していた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「評議会に出なくていい。」
『えっ?でも私も巨人掃討作戦に、参加したよ?そんな事出来るの?』
「大丈夫だ。君はその権限を既に持っている。」
『…クレイが何かしてくれたの?』
「いや…私ではない。君の母君が、昔発令した権限だ。ダリス・ザックレーとドット・ピクシスも承認している。そして…この許可証は私が用意した。存分に利用するといい。」
そう言って男は、少女に1枚の紙を手渡す。
(お母さんの権限?)
『これで…エレンの側に居れるの?』
「あぁ、好きにしなさい。」
『ありがとう…クレイ!』
〜・〜・〜・〜・〜・〜・
(大衆に私の存在を、印象付けない為の配慮だけど…逃げたようなものだよね。)
だからせめて出来るだけエレンの側で、あの子の大切なものを守りたい!
それは、私の大切なものでもあるから…。