第100章 仮面の男と新たな仲間
「崖ってのはここか?」
「西の方とはまた雰囲気が違うな」
上空から水琴が逐一方向を知らせたお陰で迷うことなく崖までたどり着いた三人は絶壁から顔を出す。
遥か下方に確かに船が見えた。
「この距離であの大きさは確かにでけェな」
「意外に高いな……足を滑らせたら終わりだ。蔓でお互いの身体を固定して、ゆっくり__」
「お先っ!!」
荷物から蔓を取り出し命綱の準備をしようとしていたデュースの目の前でエースが崖から飛び降りる。
おい?!と慌ててデュースが覗き込めばエースは器用に出っ張った岩に着地しながらするすると下りていくところだった。
「命知らずな奴……」
「ねぇ、こっちからぐるっと回ったらもう少し安全そうじゃない?」
呆れて見下ろすデュースの服を引っ張り水琴は右側を指さす。少し迂回する形にはなるが、直接下へ向かうよりも足場は安定しているように見えた。
「確かにこっちの方が安全そうだな。それじゃあ水琴、これを__」
「あ、私風になって下りられるから」
「海賊ってのはみんなこうなのかっ?!」
ゆっくり来てね、とデュースに声援を送り水琴は海に向かい地を蹴る。
ふわりと風と共に甲板へ降り立った水琴は先に着いていたエースへと駆け寄った。
「意外と綺麗だね」
「海面より高い位置に引っ掛かってたお陰で海水の浸食を免れたんだろうな」
こっちとしては都合が良い、とエースは船を見回す。
古くくたびれてはいるが見た感じは荒れ果てている様子もなく甲板は海を渡っていた時の状態を保っている。