第100章 仮面の男と新たな仲間
さすがに帆は風雨にさらされ傷つき破れていたが、これだけ大きい船なら修繕用の布を保管していてもおかしくない。
「こっちから中に入れるみたいだな」
「……ごめんエース。私待っててもいい?」
船内へ通じるドアを開け入ろうとするエースの背中に水琴はおずおずと話しかける。
見かけは綺麗でも下手したら数年単位で放っておかれた船の中など、絶対にいる。__クモとか。Gとか。
明かりもない閉鎖空間でそれらと遭遇することを想像しただけで震えが走る。
デュースもまだ来てないし、と取ってつけたような理由を加えればそうだな、とあまり深く考えずエースは頷いた。
「ちょっと中見てくるから待ってろよ」
「よろしくね」
船内に消えていくエースを見送り水琴はもう一度甲板を見回す。
さすがにエースだけに仕事をさせるわけにはいかない。中に入れない分外はしっかり見ておこう。
もう一度上空へ飛び上がり、水琴はマストの方へ向かう。
大型船のためこの船にはメインマストの他に二本マストがあった。完全な状態でなくとも少しでも使えそうな部分がないか確認するため水琴は帆を確認する。
しかしやはりというか、見た感じ無事そうに見えても潮風のせいで布地は傷みとてもじゃないが水琴の風に耐えられそうには見えなかった。
やはりエースに期待するしかないか、と落胆する水琴はあることが引っ掛かりもう一度帆に目をやる。
ズタボロになった帆。最初は岩に引っかけ破れたのかと思っていた。
しかしその破れ方はどうも妙だった。
鋭く並ぶ三本の傷。
自然が付けた傷というよりは、まるで__