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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第100章 仮面の男と新たな仲間




 次の日、船には新しいマストが誂えてあった。
 既に細工を施していたマストと木材は寸分の狂いもなくかみ合い、まるで最初から一本の丸太だったような仕上がり具合だ。
 念のためと蔓を巻き補強してあるが、それもいらないだろう。
 
 「完璧だな!」
 「あぁ。……帆、以外はな」

 大事なことを忘れていた。
 立派なマストがあっても、風を受ける帆がなければ意味が無い。
 先の嵐でボロボロになった帆を抱え水琴も眉を下げる。
 
 「コレじゃ直すのも難しいしね」

 どうしよっか、とエースを見れば彼もまた困ったように頭をかいたが、溜息ひとつ吐き帽子を被り直した。

 「直せねェなら代わりになるもんをどうにか調達するしかねェだろ。しばらくは島中探索だな」

 生きていくために必要な水や食料を集めながら帆の代わりになるものを探す日々が始まる。
 しかし風を受けられるような丈夫な素材は無人島ではなかなか見つけることは出来なかった。
 帆さえあればいつだって出航できるのに。
 目の前にゴールが見えてきたからこそ、三人の焦燥感は日毎に増していった。

 
 「どうしたらいいかな……」

 その日も水琴は空に浮かびながら島を見下ろし考えていた。
 蔓を繊維のようにして編んでみたが隙間がありすぎて十分に風を受けることは無理だった。
 帆をどうにか修繕しようとも思ったが針で糸を通せばそこから伝染し穴は拡がるばかり。
 やはり代わりの帆が必要だ。だがこの数日、探す限りでは見つかりそうもなかった。
 当たり前だ。帆なんてそこらに落ちているようなものでは無い。どこかに船でも落ちてない限り、見つけることなど不可能だ。

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