第100章 仮面の男と新たな仲間
「魚勿体ないから食べきっちゃってね。それとさ、私思ったんだけど木を乾燥させたら水分が抜けて収縮するから、その状態で細工して組み合わせたらいいんじゃないかな」
ここは海辺なのでしばらくすればまた水分を含み膨張し、少しの隙間はそれで埋めることが出来る。
確かにそれならうまくいきそうだが、とデュースは賛同しかけたものの、頭を振り顔をしかめた。
「柱ほどの木材をそこまで乾燥させるには日に晒すだけじゃ一日二日じゃ終わらないぞ。ここには人工的に乾燥させる器材もない」
「器材はないけど、方法はあるよ」
デュースの当然の意見に水琴はにんまりと笑い返す。
コルボ山時代からずっとずっと考えていたことを実行する良い機会だ。
エースとデュースに頼み、木材を隙間が空くように縦横に積み立てる。
その周囲を大きな葉や木の枝で囲めば簡易的な密閉室が出来上がった。
入口には焚火。ゆらゆらと揺れる炎にまさかこれで乾かすのかとデュースは怪訝そうに水琴を見た。
「いくら何でも頼りなすぎるだろ」
「このままじゃあね。見ててよ」
焚火に当たるよう、水琴はそっと手をかざす。
燃やしすぎてはいけない。イメージするのは乾燥機。
焚火で温められた風を勢いよく回し中の木材を乾燥させる絵面を脳裏に描き、水琴はそっと風を生む。
少しだけ煽られ勢いを増した炎は風と混じり、入り口から中へ入り込み温かな風を生みだした。
「っ?!」
突然現れた風の渦にデュースは視界を守りながら声もなく驚く。
そういえばこれも言い忘れてたな、と水琴は風をコントロールしながらデュースを振り返った。
「言い忘れてたけど、私カゼカゼの実を食べた風人間なの」
「悪魔の実か?これは……すげぇな」
呆然とデュースが見つめる先で即席乾燥機は瞬く間に木材から水分を奪っていく。
初めてにしては上出来な成果に、どうよ、と水琴は得意そうに胸を張った。