第100章 仮面の男と新たな仲間
なかなか戻ってこないエースを風で探し呼びに行けば知らない男の人がいた。
仮の名をマスクド・デュースと定めた彼は事情を話すとまだ警戒しているようではあるがついてきてくれた。
ちなみに苗字は私が付けた。さすがにマスクマンは忍びない。
東の浜から南の浜へ移動し修理途中の船を見せる。
ボロボロの様子に予想通りデュースは眉をしかめた。
「ひでぇ状態だな。マストなんて抜けかけてるじゃねぇか」
「いや、それは引っこ抜こうとして失敗した」
「余計壊してるじゃねぇか。お前ら脱出する気あんのか」
マストと甲板の接合部にひびが入り浮いているのを見て抜こうとするやつがあるか、とデュースが溜息を吐く。
そうは言われても、船の修理なんて簡単なものしかしたことがないので何が正解かなど水琴にもエースにも分かるわけがないのだから仕方がない。
確かにマストを引っこ抜くのはどうかと思ったけれども。
「__マストは船底と複雑に組み合わさって繋がってる。専門職ならうまく抜けるのかもしれないが、俺たち素人がやるならいったん全部ばらして組み立て直す方が早い」
「じゃあばらすか?」
「抜くなら、の話だ壊そうとするな!」
「壊すにしてもよく考えて!寝る場所無くなるから!」
さっそく船縁に手を掛けるエースをデュースと水琴二人で慌てて止める。
海風強い砂浜で雑魚寝なんて死んでも御免だ。
「途中から折れただけなら他の木材を接合した方が早い。材木はたくさんあるようだからな」
「そうは言っても繋げるための道具がねェよ。言ったろ。釘や鉄板なんかが足んねェって」
エースの言葉に釘とかは必要ない、とデュースは首を振った。