第100章 仮面の男と新たな仲間
「死ねば残るのは骨だけか」
もう一度男が呟く。どうやら今男の興味は白骨死体にのみ注がれているようだ。
エースは少し考え、男の傍らにしゃがみ込みその肩を叩いた。
「せめて墓でも建ててやろうぜ。おれも手伝うからよ」
「墓か……そうだな、そうしよう……」
ようやく返事が返ってきた。男はエースの言葉にしみじみと頷き、誰だか知らないが良いことを言う、と付け足した。
誰だか知らないが、じゃねぇよこっち向け。
「__誰だ今のっ?!」
エースの念が通じたのか男は一拍置きがばりと顔を上げる。
そこで初めてエースと男は目が合った。
「ひ、人……?!」
「ようやく気付いたか。アンタ大丈夫か?」
男は変わった装いをしていた。
顔は目元を覆う濃紺の仮面で隠し、素肌の上に深緑のロングコートを羽織っている。
下はシルエットを隠すようなぶかっとしたズボンに足首を締めるタイプのよくあるブーツだが、何故素肌にコートなのか。
そしてその肩から斜めにかかっているベルトはどこへ繋がっているのか。
人のことは言えない服装であることは棚に上げ、しげしげと男を観察していたエースははたとここへ来た目的を思い出しそうそう、と口火を切った。
水色の髪の男は一瞬期待に目を光らせる。
「突然ですまねェが、船が壊れちまったんだ。ここいらで釘とか鉄板とか見なかったか?」
「同じ境遇のやつじゃねぇかっ!!」
何を期待していたのか、エースの言葉に男は叫びながら地面に両手を叩きつける。
なんつーか、面白い奴だな。