第98章 初めての共闘
そんなものにまるで興味を示さず、ウサロは落ちている本を踏みしめ周囲の気配を探る。
「もう終わりか?とんだ期待外れだな」
自分の獲物すら満足に扱えない小物にせっかく高まっていた高揚感も鎮まる。
所詮ただの声が大きいガキだったか。どこかに埋まっているだろうエースを探すため、ウサロは警備を呼ぼうと踵を返した。
「終わりなわけねェだろ」
声と共に本棚がウサロ目掛け倒れてくる。
いち早く反応したウサロが横に振るった剣によって、それは真っ二つに切れた。
その本棚を踏み越え、エースが頭上から現れる。
「その剣、邪魔なんだよ!!」
横に振るわれた刀身に飛び乗り、そのままの勢いで踏みつける。
全体重を込めたエースにより、それは根元から折れた。
「な……っ!!」
「終わるのはてめェだ」
渾身のエースの一撃がウサロにめり込む。
その一撃は鉄パイプの比ではない重さを秘めていた。
派手に吹き飛び、並んだ本棚を数段巻きこみウサロは壁へ激突する。
静かに歩み寄るエースを地に伏したウサロが見上げた。
「は……卑怯じゃねェか。そっちがメインかよ」
「鉄パイプが獲物だなんて誰が言ったよ」
「へっ……」
読み違えたな、とウサロは吐き捨て意識を手放した。
気を失ったウサロを見てエースはふうと息を吐く。
「……あー。腹減った」
軽く肩を回しほぐしたエースは、そのまま部屋を出て行った。
「さて、あいつはどうしてんだ……?」