第98章 初めての共闘
一つ一つが重たい一撃にエースは何とか食いつき鉄パイプで防ぐものの、重ねるごとに勢いと速さを増していくウサロの剣に次第に追いつかなくなる。
とうとうウサロの剣が鉄パイプの上半分を切り飛ばし、その勢いでがら空きとなったエースの胴に冷たい刃が食い込もうと迫った。
だが寸でのところでエースは足を振り上げ、剣を握るウサロの手を蹴りあげる。
手首を蹴られたウサロは獲物を手放さないために大きく後退した。
「あっぶねぇ!」
自身もまた距離を取り、エースは剣を受けたせいで切れ目の入ったパイプを見つめる。
「鉄を切んのかよ。あの剣どうなってんだ」
「余所見してんな」
いつの間にか間合いを詰めたウサロが剣を振り被る。
咄嗟のことに反応しきれなかったエースはパイプで受け切れず、衝撃で窓へと突っ込んだ。
ガラスを突き破り屋敷内へと転がり込む。
その後を追いウサロも部屋へと足を踏み入れた。
そこは蔵書室だった。インクとカビ、埃が入り混じる独特の臭いが部屋を満たしている。
多くの知識人が長い歳月をかけて記した貴重な知識の宝庫は今暴力により見る影もなくなっていた。
エースが突っ込んだ衝撃で倒れた本棚からは書物が溢れ床にぶちまけられている。
ガラスや木片が容赦なくその装丁を破り、題名が判読不可能なものもあった。