第98章 初めての共闘
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激しい音と共に壁が崩れ警備の慌てふためく悲鳴が響く。
警備の奴らを引きつけるようにエースは派手に暴れまわり、いつの間にか中庭へと出ていた。
「手ごたえねェな」
既に警備のほとんどがエースによりやられている。
これだけ片付けておけば向こうも心配ないだろう、と息すら乱さずエースは服についたほこりをはたいた。
「こんなとこに居やがったか」
声がする方を向けば先程の男が一人立っていた。
確か警備にウサロと呼ばれていたやつだ。
その手にはバズーカの代わりに奇妙な曲線を描いた剣が握られており、鈍く光を反射していた。
「女が見えねェな。逃げられたか」
「おれ一人じゃ不服か?」
「……いや」
倒れている警備を一瞥し、ウサロは口元を吊り上げる。
「久々に楽しめそうだ」
「奇遇だな。おれもだ」
壁に沿って配管されているパイプの一部を引き抜き肩に担ぐと、エースは好戦的な目を向ける。
先に動いたのはウサロだった。
一気に距離を詰め、剣を真横へ薙ぎ払う。
それを紙一重でよけ、エースはパイプを振り下ろした。
返す剣でパイプを受けはじき返すと、ウサロはその弱さに嘲笑の笑みを浮かべた。
「__甘ェな」
力強く踏み込み後方へバランスを崩したエースに次々と剣撃を繰り出す。
「間合いの詰め方が甘ェ、振り下ろす時の脇の締め方も甘ェ、獲物の扱い方もなっちゃいねェ!
それがお前の実力か?楽しませてくれるんじゃなかったのか」
「……っ」