第98章 初めての共闘
「つ、強い……」
「なんだこのガキども……」
たった二人の子どもにやられ半数以上が地に伏し、残る警備は唖然とただ立ち尽くす。
「どけ」
止める術もなくただ棒立ちとなる警備を押しのけ現れた男は群衆の中心で暴れるエースへ視線を向ける。
先程ウサロと呼ばれていた男は片手に携えていたある物を構えた。
「ん……?」
気配に気付き、エースがウサロの方を見る。
「調子に乗るなよ、ガキが」
肩に担がれこちらを狙うのは巨大なバズーカ。
黒光りするそれが完璧にエースを捉えているのを見て、水琴は咄嗟に手を伸ばした。
「危ないっ!!」
水琴の声と同時に引き金が引かれ、大きな爆発音が轟く。
もうもうと土煙が立ち込め、その場にいる全ての者の視界が遮られた。
「はっ、なんだ。呆気ねェな」
バズーカを地に突き立てウサロは土煙の向こうを見つめる。
何の反応もないことにウサロはつまらなそうに舌打ちをした。
「バラバラになっちまったか……?」
煙が収まり、見えた先には穴のあいた壁と瓦礫のみ。
「何……?!」
「ウサロ様!どこにもいません!!」
「逃げたか……?」
敷地の外へ目を向ける。
あれだけ喧嘩を売っておいて、こんな簡単に引き下がるようには見えない。
「お前らは敷地周辺を捜せ。残りは屋敷内だ」
まだ熱を持つバズーカを手にウサロは屋敷内へと戻っていった。