第98章 初めての共闘
「俺達はあいつらの収入源兼玩具なんだ。最近じゃ妙な賊を囲ってるし、なんでも相当良い貴族の出だとかで通報しても簡単にもみ消されちまう……」
あぁ、終わりだ…と悲痛の声を上げる男性の言葉と否定もせず押し黙る住人達にここの領主が随分と勝手に振舞っていることを知り水琴は押し黙る。
「__分かりました。ここは、私達が話を付けてきます」
「はァ?!」
お前何考えてんだ!とエースが怒鳴る。
「だって、元はといえば私達のせいだし。なんとか町に被害が出ないように説得するとか……」
「説得なんて聞くような奴らかよ!さっきのいかれた感じ見たろ」
「それは、そうだけど」
しかし話を聞いてしまった時点で何もせずとんずらはどうしたってできない。
言い澱む水琴に大体な、とエースは追撃と言わんばかりに指を向けた。
「町の奴らに手を出さない条件として“結婚してくれ”とか言われたらどうすんだ」
「絶対嫌!!」
「ほら見ろ」
エースの言葉にぐっと詰まる。
先程のあの様子では、冗談だと笑えないところがきつい。
だけど、ならどうしたらいいのだ。
「簡単だろ」
ばきり、とエースが拳を鳴らす。
「つまりは悪ィ領主なんだろ?ぶっ飛ばせばいい」
その目は不敵に輝いていた。