• テキストサイズ

【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第98章 初めての共闘






 ***



 「食料はこんくらいで良いな」

 保存できる位の食料を船へ積み込み、エースは手を払う。
 約束の時間まではまだ半分ほどある。特に町で用もないエースは昼寝でもして待っていようと甲板にごろりと横になった。
 動けるようになったとはいえ、まだ腹に酒が残っている気がする。
 もう二度とアイツと呑み比べはしないと心に決め、エースは一眠りするために目を閉じた。


 「おい、そこの小船!」
 「………んが?」

 しばらくして熟睡するエースの耳に怒鳴り声が届き、目を覚ます。
 気分はだいぶすっきりしていた。
 のそりと起き上がり声のする方を見れば、奇妙な形の船が目に入った。風で動く帆船ではなく、燃料を動力とした小型船だ。
 そこの甲板に数人の男が立ち並び、エースを睨みつけている。

 「なんだ。何か用か」
 「お前がそこにいては船が停められぬ!早く退かぬか!」
 「あァ……?」

 視線を向ければ確かにエースの船が向こうの船の針路の邪魔をしている。
 しかし、他にも船を止める場所はいくらでもある。わざわざエースの船をどかす必要はない。

 「別に他にも停める場所はあるだろ。そっち行けよ」
 「ラディッツ様はその向こうの場所にしか船をお停め出来ないのだ!」
 「なんだそりゃ。ダセェ」
 「ダサいとはなんだダサいとは!」
 「じゃあ停められる奴が船操作してやりゃいいだろ」
 「ラディッツ様はご自分での操作をご希望だ!」
 「なんだそりゃ。めんどくせェ」
 「めんどくさいとはなんだめんどくさいとは!」

 変な奴らに捕まった、とエースはげんなりとする。

 「大体貴様!ラディッツ様を知らないとは一体どういうことだ!」
 「ラディッツ様はこの町の領主の息子であらせられるぞ!」
 「おれは海__買い出しに来たただの旅行客だ。ラビットだかプリッツだか知らねェが、関係ねェな」

 海賊と言いそうになり、約束をした事を思い出しぐっと堪える。

 「この町の領主の息子に向かって、何たる不敬な!」
 「旅行客と言えど容赦せん!」
 「……へェ。やるか?」


 獲物を構える男達に対しにやりと笑う。
 少しは暇つぶしになりそうだ。




/ 1122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp