第98章 初めての共闘
そんなことになれば次の町で呑気に買い物など出来やしないだろう。
グランドラインに行くためにはもっと装備を整える必要がある。それまではなるべく無駄に海軍に追い回されるような事態は避けたい。
「だから、こういう町では無闇に海賊だなんて名乗らないこと。いい?」
今後のことを考えるなら妥当な判断だと思うのだが、エースにはあまりしっくりくる内容ではなかったらしい。
水琴の言葉に一瞬渋い顔をすると納得いかないように眉を寄せた。
「別に追われても全員返り討ちにすりゃいいんだろ?名前が広がるなら好都合じゃねェか。海賊が海賊だって名乗って何が問題なんだよ」
確かに彼の目的はその名を世間に知らしめることだ。それならば別にこそこそと隠れるような真似はしたくないだろう。
だが水琴にも言い分はある。名を挙げることは大いに結構。しかし挙げるタイミングというものがある。
そして水琴は今このタイミングでそのような挙げ方は断固として阻止したいわけで。
「__分かった。エース、勝負しよう」
店主へと声を掛け水琴はジョッキをふたつ受け取る。
「お互い譲る気は無いわけだから、勝った方の意見を通す。負けた方は大人しく従う。どう?」
「飲み比べってか?いい度胸じゃねェか」
無理して潰れても知らねェぞ、と鼻で笑うエースに水琴はニッコリと笑い返した。
「私も”そこそこ”強い方だから、簡単には負けないよ」
ジョッキを掲げ勝負とばかりにぶつけ合い一気に煽る。
どちらが勝ったかは言うまでもない。