第97章 17歳エースとの出逢い
「お前はこっちのベッド使え」
適当に宝を放ってから船室へ案内する。
この船は二~三人用の小さなものなのでダイニング以外に部屋は一つしかない。
自身が使っているものの向かいに備え付けられたベッドを顎で示し、エースはそのまま自分の方に腰掛けた。
いつ仲間が出来ても良いように家具だけは複数用意してあったのは幸いだったが、同じ部屋というのも具合が悪い。
後でカーテンでも付けるかと考えるエースの前で水琴はぽすんとベッドに座った。
「で、お前は一体どんな手を使ったんだ?」
「え?」
仲間にするからには手の内を知っておきたい。
そう思い問い掛けた言葉だったが何を聞かれたのか分からないといった様子で水琴は首を傾げた。
「一人で海賊団全滅させた手だよ。見たところ身体はひょろいし、武器を持ってるようにも見えねェ。悪魔の実の能力者か何かか?」
「あ、あぁ。そうだよね」
まだ知らないよね、と呟いた水琴に首を傾げる。
「まだってなんだよ」
「こっちの話。そうだね、エースの言う通り。私はカゼカゼの実を食べた“風人間”なの」
水琴が軽く手を振ればその場に風が生まれる。
「風か。そんな能力もあるんだな」
ルフィのように身体が超人化する実以外にも自然の力が操れる実もあるらしい。
つくづく悪魔の実っていうのはおかしなもんだ。