第97章 17歳エースとの出逢い
「……お前、行くとこないのか」
「端的に言えばそうなります」
「そうか。………」
黙り込んだエースはしばらくしてよし!と声を上げる。
「お前、おれの仲間になれ!」
「………はい?」
思わぬエースの言葉に目を見開く。
驚きすぎて涙も引っ込んだ。
「おれは海賊になって名を挙げるためにこれからグランドラインを目指すんだ。そのためには強い仲間が必要だからな。一人で海賊団全滅させられるなら強さはまァいいだろ」
「……え、ちょっと」
「お前航海士だったりしないか?海に出たはいいけどなかなか次の島に着かなくて困ってたんだよな正直。太陽目がけて進んでたはずなんだけどな」
決めた!と高らかに宣言したエースは水琴のことなどお構いなしに話を進めていく。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「ん?」
「あなた、海賊になるんですよね?私なんか連れてっていいんですか?」
「どういうことだよ。お前もしかして海軍か?」
「いえ、違いますけど」
じゃあ問題ねェだろと言うエースに対して問題大ありだと内心叫ぶ。
だって、これからエースはスペード海賊団を立ち上げ、大物ルーキーとしてグランドラインを駆けあがっていくはずだ。
その中に、私がいるなんてことは、ない、はず……
__ここは確かに過去かもしれねェが、俺達にとっちゃ”今”でもある。
未来を変えてしまうかもしれないと恐れていた水琴に投げかけられたマルコの言葉を思い出す。
あの時マルコはそう簡単に未来は変わらないと勇気づけてくれた。
でも、そうではないとしたら。
もし、私がここに在ること自体が過去の一部だとしたら?