第97章 17歳エースとの出逢い
そうして応戦すること数十分。
なんとか全ての海賊たちを倒した頃には、水琴はぜはーぜはーと荒い息を吐き甲板に座り込んでいた。
「し、しんどかった……」
しばらく動きたくない、と床に手をつく。
しかし、これは一体どういうことだろう。
静かになった甲板で、水琴は海を眺める。
突然知らぬ場所で気が付くという経験は、何度かしている。
それを考えれば、きっと今回も自分は別の場所へ飛ばされてしまったんだろう。
「__なんでぇ……?」
じわりと目の前が揺らぐ。
ぽろぽろと頬を涙が伝うのが分かった。
最初は施設のシスターや幼い弟妹たち。
次は白ひげのみんな。
その次は小さなエースやルフィ。
家族となった人は、容赦なく引き離されて。
つくづく自分は家族運がないらしい。
ぐすりと鼻をすする。
何も目印のない海に、ポツンと一人きり。
それが一層水琴を孤独にさせた。
「……泣いていても、しょうがないよね」
しばらくしくしくと泣き続けた水琴だったが、一向に何も見えない状況に腹をくくった。
起こってしまったことは仕方がない。
まずは今が“いつ”なのかを知ることが重要だ。
もしかしたら、時代は変わっていなくて場所だけ移動したのかもしれないし。
更にもしかしたら、元の時代に帰ってきたなんてこともあるかもしれない。
無理やり気持ちをポジティブな方向へもっていこうと都合の良いことばかりを考える。
そしてその答えは予想以上に早く水琴の前に示されることとなった。