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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第97章 17歳エースとの出逢い






 「手違いだァ?こんな海のど真ん中でよく言うぜ」
 「よく見れば上物じゃねェか。たっぷり楽しんだ後、ブローカーに売り払うか?」

 わお。やっぱりそうきたか。
 どの海でも馬鹿な男の考えることは一緒らしい。

 しかし水琴も伊達に白ひげクルーとして新世界の海を渡り歩いていない。
 何度目か分からない展開に溜息こそ出れ、今さら怖じ気づくなんてことはない。

 「あの、見逃してもらうって選択肢は……」
 「ねェな」
 「大人しくしてりゃ殺しは死ねェさ」
 「……そうですか」

 それならしょうがない、と水琴はにたにたと笑う海賊の手が触れる瞬間にふっと宙に溶ける。
突然目の前で消えた水琴に海賊たちは意表を突かれざわついた。

 「消えた?!」
 「おい、なんだあの女!」
 「ごめんなさい!」

 騒ぐ海賊たちの背後に一陣の風が吹く。
 その風の切れ目から現れた水琴は片手を容赦なく突き出した。

 「突風!!」
 「うごぉぉおわぁぁあああ?!」

 不意打ちの風に海賊たちが吹っ飛ぶ。
 
 「やった……?!」

 甲板に転がった海賊たちを見て気の緩んだ水琴の背後で銃声が響く。
 驚く水琴の背中を突き抜け、目の前に銃弾が数発めり込んだ。

 「きゃあ?!」
 「すり抜けた……?!」
 「なんだあいつ!」
 「ちょっと!痛くないけどびっくりするからやめてよね!」

 心臓に悪い!と水琴は振り向き手を振るう。

 「疾風!!」

 鋭く放たれた風は海賊の手に握られた銃を正確に弾いた。

 「お願いだから、近くの島まで大人しく眠っててってば……!」

 海のど真ん中で風となって、どこにあるか分からない島を目指すのは少し怖い。
 突然のサイクロンなどに巻き込まれれば、ばらばらにかき消されてしまうに違いない。
 出来れば穏便にこの場を脱出したいのだが、目の前の殺気だった海賊たちはそう簡単に許してくれなさそうだ。
 一斉に襲い掛かってきた海賊たちを迎え撃つため水琴は手を掲げる。
 海に落とせば命にかかわる。さすがにこちらの不手際で命までは奪いたくない。
 水琴は風を慎重にコントロールし海賊たちを落とさないようにどうにか意識だけを奪おうと奮闘した。
 

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