第94章 抗うもの
同時に水琴は異なる決意もまた固めていた。
これから同じように、エースに待ち受けているかもしれない運命。
「__絶対に、死なせない」
サボの運命は変えられなかった。
ならば、エースだけは、絶対に変えてみせる。
太陽のような笑顔を思い出す。
またいつか、絶対に四人で集えるように。
成長した彼らが、笑顔で再会できるように。
風が水琴の髪をさらう。青空に光り輝く太陽を見上げ、水琴はたとえ記憶を隠されることがあっても、この決意だけは忘れまいと固く誓った。
***
あの悪夢のような夜から数か月。
コルボ山での生活は日常を取り戻しつつあった。
焼け野原となったグレイターミナルも再びゴミが投棄されるようになり、以前の規模に比べればまだ小さいが元の様相を取り戻しつつあった。
そんなグレイターミナルを抜け、水琴たちは大門をくぐる。
今日は年に一度の縁日が催される日だった。
常とは異なる屋台が並び、客を呼び込む光景は子どもでなくてもテンションが上がる。
「おーい!水琴早く早く!」
「待ってってば。あ、エースルフィ追いかけて!迷子になっちゃう」
「しょうがねェな」
初めての縁日ということではしゃぐルフィを溜息を吐きながら追いかけ引き留めるエースにありがと、と声を掛ける。
「はいこれお小遣いね。使いすぎないように気を付けること!」
二人に小さな袋を渡せば嬉しそうに受け取る。なんだかんだでエースもまたこの縁日を楽しみにしていたようだ。
早速近くの屋台を物色し始めた小さな背中を見守っていると、横から声が掛けられた。